
【2026年10月義務化】カスハラ対策の企業義務化とは?今すぐ進めるべき3つの必須対応
2026年05月27日 19:00
近年、過度なクレームや暴言といった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が深刻な社会問題となっています。これを受け、2026年(令和8年)10月1日から、改正労働施策総合推進法により、すべての企業に対してカスハラ対策が「雇用管理上の措置義務」として正式に義務化されます。
「うちは中小企業だからまだ先の話だろう」「現場がうまくあしらっているから大丈夫」という甘えは一切通用しません。今回の法改正には中小企業向けの猶予期間はなく、労働者を1人でも雇用するすべての事業主が対象となります。
本記事では、2026年10月の義務化に向けて、企業が今すぐ着手すべき3つの必須対応について分かりやすく解説します。
そもそも「カスハラ対策の企業義務化」とは?
今回の義務化は、顧客や取引先からの「著しい迷惑行為」から従業員を守るための体制づくりを企業に義務付けるものです。
もし対応を怠り、従業員が精神疾患を患うなどの被害が出た場合、企業は「安全配慮義務違反」に問われ、損害賠償請求や、最悪の場合は「企業名の公表」といった社会的信用の失墜、さらには深刻な人材流出を招くリスクがあります。
厚生労働省の指針をもとに、企業が整えるべき対策の全体像は以下の通りです。
区分求められる雇用管理上の措置① 事前準備
・企業としての基本方針の明確化と社内周知
・悪質なケースへの対処方針(警察連携など)の策定
② 相談体制・相談窓口の設置と、担当者の配置・教育③ 事後対応・事案発生時の迅速な事実確認、被害者のメンタルケア④ その他・相談者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止
今すぐ進めるべき3つの必須対応
2026年10月の施行に向けて、社内規定の改定や現場への落とし込みには数ヶ月以上の期間が必要です。今すぐ以下の3つのステップに沿って準備を始めましょう。
1.トップメッセージの発信と「基本方針」の策定:目安:1〜2ヶ月。
まずは経営トップが「従業員をカスハラから守る」という強い意志を社内外に示します。
その上で、就業規則やハラスメント防止規程を改定し、「どのような行為がカスハラに該当するか」「会社として毅然とした対応をとる」という基本方針を明文化し、全従業員に周知・啓発します。
2.迷わず駆け込める「相談窓口」の設置と運用の整備:目安:1ヶ月。
従業員が被害に遭った、あるいは「これはカスハラかも?」と悩んだときにすぐに相談できる窓口を設置します。
既存のパワハラ・セクハラ窓口と一本化しても問題ありませんが、担当者が「単なるクレーム」として片付けないよう、受付後の連携ルートや対応フローをあらかじめ決めておく必要があります。
3.現場用「対応マニュアル」の作成と現場研修の実施:目安:2〜3ヶ月。
最も重要なのが、現場の従業員が「その場でどう動くべきか」の基準作りです。
「暴言が3回続いたら対応を打ち切る」「1人で対応せず必ず上司に引き継ぐ」「通話を録音する」といった具体的な決まりをマニュアル化します。また、ロールプレイングを交えた社内研修を行い、現場の対応力を高めます。
カスハラと「正当なクレーム」の境界線
現場が対応に迷うのが、「これはただの厳しいクレームなのか、それともカスハラなのか」という点です。厚生労働省の指針では、以下の2つのいずれかに該当する場合をカスハラと定義しています。
要求の内容に妥当性がないもの
商品に欠陥がないのに、不当な金銭補償や解雇を要求する
契約内容を大きく逸脱した過度なサービスを強要する
要求を実現するための手段・態様が社会通念上不適切なもの
怒鳴る、机を叩く、土下座を要求する(威圧的な言動・暴力)
長時間にわたって拘束する、何度も執拗に電話をかけてくる(拘束的・執拗な言動)
SNSへの実名投稿や悪評の拡散をほのめかして脅す
ポイント:
たとえ企業側に落ち度(商品の不具合や接客ミス)があったとしても、「土下座しろ」「ネットに晒すぞ」といった行き過ぎた手段に出た時点で、それは「カスハラ」になります。 企業側はミスを謝罪しつつも、不当な要求には毅然と拒否を突きつける姿勢が求められます。
まとめ:従業員を守ることが、企業を守ることにつながる
2026年10月の義務化は、決して「形式的なルールを増やせばいい」というものではありません。深刻な人手不足が続く現代において、「従業員を理不尽な顧客から守ってくれない会社」は、瞬く間に労働者から見限られてしまいます。
対策を早期に進めることは、法律を遵守するだけでなく、「従業員が安心して働ける環境」をアピールする強力な採用ブランディングにもつながります。
まだ対策に着手していない企業は、まずは現状のクレーム発生状況の棚卸しと、社内方針の策定から一歩を踏み出しましょう。